2012年1月30日月曜日

脳に悪い7つの習慣

今回は、
『脳に悪い7つの習慣』 林成之著 幻冬舎新書 2009年発行
を紹介します。

この本は、第1章から第7章まであり、各章に脳に悪い習慣が書かれています。
  • 第1章 脳に悪い習慣①―「興味がない」と物事を避けることが多い
  • 第2章 脳に悪い習慣②―「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
  • 第3章 脳に悪い習慣③―言われたことをコツコツやる
  • 第4章 脳に悪い習慣④―常に効率を考えている
  • 第5章 脳に悪い習慣⑤―やりたくないのに我慢して勉強をする
  • 第6章 脳に悪い習慣⑥―スポーツや絵などの趣味がない
  • 第7章 脳に悪い習慣⑦―めったに人をほめない
これを見て「えっ、これっていけないことなの?」(特に③④⑤)と思う方が多いのではないでしょうか。
私もどうしてか知りたくなり、購入してしまいました。(出版社の戦略に見事に引っかかった感じですね。)

以下、本の内容を私なりにまとめます。


第1章 脳に悪い習慣①―「興味がない」と物事を避けることが多い
脳神経細胞がもつ3つの本能: 「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」
3つの本能に逆らうことは、脳にとってよくない
  • 「自分さえよければいい」という考えは「仲間になりたい」と言う本能に逆らうためよくない
  • 「知りたい」に逆らう「興味がない」のもNG
  • 何事にも、前向きに興味をもって取り組むと脳は喜ぶ
脳の2つのクセ: 「自己保存」「統一・一貫性」
  • 「自己保存」: 脳は自分を守ろうとする
  • 「統一・一貫性」: 脳は統一性、一貫性を保てなくなるような情報を避けようとする
  • 「自己保存」「統一・一貫性」の過剰反応には注意が必要

第2章 脳に悪い習慣②―「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
脳は入ってきた情報に、好き、嫌いなどの感情のレッテルを貼る
このレッテルによって、脳のパフォーマンスが左右される
  • おもしろくない、好きじゃないといったマイナスの感情は持たない
  • 自分を違う人を嫌いと思わず、違うものとして認める
  • グチは自分にとっても、聞いた人にとっても、脳にマイナス
  • 周囲を盛り上げると、集団全体のパフォーマンスが上げる
表情筋と脳の神経細胞が密接に結びついているため、表情が暗いと脳は曇る

部下を育てる上司とは
  • 好かれない上司は、いうことにマイナスのレッテルを貼られるため、チームとしていい結果を残せない
  • 反発心をあおって、やる気を出させるのは間違い
  • 部下の立場に立って部下の話を聞くことが大事

第3章 脳に悪い習慣③―言われたことをコツコツやる
「自己報酬神経群」: 情報の通路であり、自分への報酬(ごほうび)によって機能する神経細胞群
自己保障神経群のはたらきを阻害する習慣は脳のパフォーマンスを落とす
  • 結果的にごほうびを得たではダメ、ごほうびが得られそうだという期待がモチベーションになる
  • 脳にとってのごほうびは「うれしいと思うこと」
  • 「勝負に勝ってうれしい」より「喜んでもらえてうれしい」の方が、脳にとってはごほうび
「だいたいできた」は、脳にとって停止命令となるからダメ
  • 「だいたいできた」と答える子供は伸びない
  • 「もう少しでゴールだ」と思うとパフォーマンスが落ちる、「ここからがマイゾーン、負けるはずがない」と思うようにする
  • 「無理かもしれない」はダメ、「なぜ難しいのか」と考え、対策に集中する
「コツコツやる」は「失敗しないように慎重にやろう」さらには「失敗するかもしれない」というマイナスの意識が潜んでいるからNG

目的と目標を分ける
  • 目標は目的を達成するための課題
  • 目標はモチベーションが上がるレベルのものとし、達成のよろこび(報酬)を得られるようにする
  • 目的と目標を紙にかいて貼っておき、脳がブレないようにする
  • さまざまなことに「目標を手近に、具体的に置く」ことを活用す
  • 目標をコロコロ変えることは、失敗経験を積み重ねたことと同じ
  • 目標を変える時は、理由をはっきりさせ、同じ轍を踏まないようにする
「自己報酬神経群」は主体的に考えないと機能しない
  • 上司や指導者のいいなりはダメ
  • マニュアルどおりにやらせることは主体性を育てない
  • 「どうすればいいですか」と質問ばかりしているのもダメ
  • 人や環境のせいにすることは、主体性がないから
”ここぞ”というときにリラックスしてはいけない、目標に向かって一気に駆け上がる

「気合いだ」「がんばれ」と叫ぶのはNG、具体的な指示を出すべき


第4章 脳に悪い習慣④―常に効率を考えている
効率を重視し、「必要なムダ」を見落とすな

繰り返し考えることが、独創性を生む
  • 大事なことは早くまとめて、繰り返し考え直す
  • 日記やブログで考えを整理することは脳にもよい
  • 本を一回読むだけでは、学んだことを生かせない
「統一・一貫性」「自己保存」のクセにより、先入観や常識にとらわれる
  • 頑固では思考がすすまない
  • 反論されてカチンとくるのはNG、いろんな意見を取り入れ思考を深める
脳はあまり重要でないと判断したものは3~4日たつと忘れるしくみがあるため、考えることは4日ごとに間を置く


第5章 脳に悪い習慣⑤―やりたくないのに我慢して勉強をする
脳の記憶は4種類
  • 「作業記憶」:入ってきた情報すべて
  • 「体験記憶」「学習記憶」「運動記憶」:これらはすべてイメージ記憶
  • イメージ記憶とは、情報をそのまま記憶するのではなく、思考をへてイメージに変換して記憶する
  • イメージ記憶は、思考をへているため間違いもある
しっかり記憶するための条件
  • プラスのレッテル(報酬など)をはる
  • 主体的に勉強する
  • 興味をもって勉強する
悔しい気持ちは自己報酬神経系を強め、脳のパフォーマンスを上げる

剣道を刀で行うと素人が有段者に勝つことがある・・・火事場の馬鹿力

脳は、さまざまな条件を重ねることで、より強く記憶する
  • 人を覚えるとき、名前だけ覚えるのではなく、姿や性格なども同時に覚えると、記憶に残る
  • 本を読むとき、文字を目でおうのでなく、音読すると記憶に残る
記憶しかたどうかの確認方法
  • 人に説明できるか
  • 3~4日後に覚えているか
記憶の確認作業を通して完璧な記憶ができる

体験記憶の落とし穴
  • 成功体験に捕らわれすぎている
  • 失敗体験に捕らわれすぎている

第6章 脳に悪い習慣⑥―スポーツや絵などの趣味がない
「空間認知機能」: 空間のなかで位置や形などを認識する機能
  • 物事の認識や判断、思考、記憶のなかでも「空間認知機能」が活躍する
  • 空間認知中枢のとなりに、数字を処理する中枢があるため、空間認知機能の弱い人は数字に弱い
姿勢が悪いと身体のバランスが崩れ、空間認知機能がはたらかない
  • 目線を水平に保つことは大事
  • 姿勢を正しく保つコツ: いつでも真上に飛び上れるような姿勢にする
空間認知機能を高める方法: スポーツと絵をかくこと
  • スポーツではキャッチボールがおすすめ
  • 絵をかくことが苦手な人は、ますめを使ってかく
テンポよくリズミカルに行うと脳によい

言語中枢の空間認知機能は、よくしゃべると活発にはたらく


第7章 脳に悪い習慣⑦―めったに人をほめない
考えがまとまったとき、脳内では神経細胞が情報をやりとりしながら同時に発火する「同期発火」が起きている

たんたんとクールに話すのではなく、気持ちを込めて話すと気持ちが伝わる

「空気を読まない」はNG

同期発火する脳をつくるには人間性を磨くことが大事

人を褒めると脳はよろこぶ


本を読み終えて、書いてあることすべて、ストンと腑に落ちることばかりでした。いままで、断片的に良い悪いと思っていたことが、脳のメカニズムを通して説明されており、とてもわかりやすい本です。

この本にあげられたことは、どれも簡単なことばかりなので、自分がしている脳に悪い習慣を、ひとつひとつ、改めていきたいと思います。


著者を紹介します
1939年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了後、マイアミ大学医学部脳神経外科、同大学救命救急センターに留学。1994 年、日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター部長に就任後、長きにわたって救急患者の治療に取り組み、その間、数々の画期的な治療法を開発して大きな 成果をあげる。なかでも多くの脳死寸前の患者の生命を救った脳低温療法は、世界にその名を知られる大発見となった。日本大学医学部教授、マイアミ大学脳神 経外科生涯臨床教授を経て2006年、日本大学大学院総合科学研究科教授。2007年10月、国際脳低温療法学会会長賞受賞
・・・http://www.amazon.co.jp/より引用



2012年1月28日土曜日

ストレスに強い脳、弱い脳

今回紹介する本は、
『ストレスに強い脳、弱い脳』 有田秀穂著 青春出版社 2009年発行
です。

著者の有田秀穂さんは、セロトニン研究の第1人者で、ストレスに強い脳の作り方をわかりやすく教えてくれます。

その内容を私なりにまとめました。


脳を鍛えれば、だれでも打たれ強くなれる
脳細胞の数を生まれた時にはほぼ決まっているが、脳細胞をつなく神経は、経験によってどんどん複雑化していく
⇒脳はあくまで生後の環境によって発達

打たれ強さの源はセロトニン
  • セロトニンは脳内にあるセロトニン神経から分泌される物質
  • セロトニンの量が減ると、ストレスを受けるとすぐに落ち込んでしまう
セロトニン神経のはたらき
  1. すっきり爽快な意識を作り出す
  2. 平常心を維持する
  3. 交感神経を適度に興奮させる
  4. 痛みを軽減させる
  5. よい姿勢を維持する
セロトニンを減らす2つの原因
  1. セロトニンはつくりおきができない
  2. ストレスにより減っていく
セロトニン神経を鍛える3か条
  1. 太陽の光を浴びる
  2. リズム運動
  3. スキンシップ
1.太陽の光を浴びる
  • 5分~30分程度
  • 屋内の照明では暗いため効果はない
2.リズム運動
  • ウォーキング・ジョギンク・自転車こぎ・ダンス
  • 座禅・呼吸法
  • やりすぎに注意、マイペースでほどほどに
3.スキンシップ
  • さるのグルーミングはストレスをやわらげる行為
  • タッピングタッチ
セロトニンの原料
  • 原料はトリプトファンというアミノ酸
  • トリプトファンの多い食べ物: 豆腐・赤身の魚・乳製品・卵・バナナ・アボガド・青汁の原料であるケール
  • 炭水化物: トリプトファンを脳内に届ける
  • ビタミンB6: トリプトファンを合成させる
ストレスに強い人は眠りも深い
  • メラトニン: 睡眠にかかわるホルモン
  • メラトニンは日が沈むとセロトニンから合成が始まる
  • 電気をけすか、目とつむり、目から情報が遮断されるとメラトニンは分泌される
  • 夜中2時くらいから分泌が減少
  • 朝の日が差し込むと分泌が止まる
睡眠障害の原因
  • メラトニンに原料であるセロトニンの不足
  • カフェインの取りすぎによるメラトニン分泌の抑制
  • パソコン・テレビなどの電磁波
前頭前野の4つのはたらき
前頭前野は「自分をコントロールする」というはたらきをもっている
  1. 意欲・・・ドーパミン神経
  2. 共感力・・・セロトニン神経
  3. 集中力・・・ノルアドレナリン神経
  4. 切り替え力・・・セロトニン神経
直観力の鍛え方
直観力:共感力・切り替え力の先にあるもの
  1. 涙を流す
  2. 呼吸を合わせる
  3. タッピングタッチ
  4. グルーミング
1.涙を流す
  • 泣くことは究極のストレス解消法
  • 自分が泣ける映画をストックしておく
2.呼吸を合わせる
  • お互いが呼吸を合わせることにより共感を高めている
  • お神輿かつぎ: ワッショイ、ワッショイで呼吸を合わせている
  • サッカーの応援: 90分歌い続けることで共感をえている
3.タッピングタッチ
  • 孫の肩たたきは肩こり解消より癒しの効果が高い
  • 子供に口で説教するより、タッピングタッチのほうが心を開く
4.グルーミング
  • グルーミングはペットをなでることだけではない
  • 女性の井戸端会議、仕事帰りの一杯もグルーミングの一種
  • 家族団らんもグルーミングといえる
ドーパミン神経活用術
  • ドーパミンは夢をかなえる意欲の神経
  • 脳は報酬があるから努力できる
  • ドーパミンも行き過ぎは依存症におちいる原因になる
  • セロトニン神経が行き過ぎを防ぐ最後の砦
「ドーパミン原理」のしあわせと「セロトニン原理」のしあわせ
  • 「ドーパミン原理」・・・具体的な夢や目標を持ち、それに向かって努力する
  • 「セロトニン原理」・・・人と人とのコミュニケーションや共感
  • 夢の大きさではなく、夢の質を変える
  • 結婚は共感力を高めるひとつの修行

読み終えて、自分の生活を振り返ってみた。
<できていること>
  • 毎朝運転中に太陽の光を浴びている
  • トリプトファンの原料となる食べ物を食べている
  • 炭水化物を食べている
  • ビタミンB6の入ったサプリを飲んでいる
  • 寝る前にはカフェインをとらないようにしている
<できていないこと>
  • リズム運動をやっていない
  • スキンシップをやっていない
  • パソコンの前にいる時間が長い
  • 涙を流していない
  • お神輿かつぎやサーカー応援など、呼吸をあわせるイベントに参加していない
  • 仕事帰りの一杯や、家族団らん等のグルーミングが少ない

精神衛生には気を付けているつもりだったが、まだできていないことが多い。
もっと積極的に、人との触れ合いを持つ必要があるようだ。

また、これまで自分の人生で大切にしていたものは、「ドーパミン原理」的なものが多い。
「セロトニン原理」的なものは軽く扱ってきており、ハッとさせられた。

まずは、家族団らんから始めてみようと思う。


最後に著者のプロフィールと著者が代表を務める「セロトニン道場」のホームページを紹介します。

有田 秀穂(アリタ ヒデホ) 1948年生まれ。東京大学医学部卒業。
東海大学医学部内科で臨床、筑波大学基礎医学系で脳神経の基礎研究に従事。その間、ニューヨーク州立大学に留学。
東邦大学医学部統合生理学教授。
NPO法人国際セロトニントレーニング協会会長
・・・http://spysee.jp/...より抜粋

「セロトニン道場」のホームページ

2012年1月24日火曜日

時間はどこで生まれるのか


今回、紹介する本は
『時間はどこで生まれるのか』 橋本淳一郎著 集英社新書 2006年発行
です。

時間はどこで生まれるのか? タイトルに惹かれてこの本を手に取り、目次を見た。
  • 第3章 量子論における時間の非実在性
  • 第5章 マクロの世界を支配するエントロピーの法則
量子論やエントロピーの法則を通して、時間を分かりやすく説明する本と思っていたら、
  • 第6章 主観的時間の創造
  • 第7章 時間の創造は宇宙の創造である
何やら哲学的なにおい! 自分では想像できない何かが書かれている予感を感じ購入した。


第5章までは、現代物理学から見た時間論。ここまでの内容でも、日常の時間概念とかけ離れたことが分かりやすく書かれており、刺激的だ。



筆者は「相対性理論」上の時間の概念をグラフを使って、わかりやすく説明している。



図1は2次元空間を表している。
点Aが自宅、点Bをレストランとする。

図2は、この図に時間軸を加えたもので、「時空図」という。
この場合、点Aは正午0時に自宅を出て、午後1時にレストランに到着するということを表している。
時空図では、その中の一点を「事象」(点Aや点B)といい、ある事象と別のある事象を結んた線を「世界線」という。




図3は時空図に光の世界線を表したものである。
常識では現在を境にして過去と未来しかないが、相対性理論では、光の世界線を境にした、「非因果的領域」が現れる。非因果的領域は、光速を超えないと入れない。また、現在と因果関係を持つことができない。
日常生活においては、光速に近い速度を出すことはないため、「非因果的領域」に気づくことはない。
(図3で、空間軸xの尺度を日常生活レベル(例えば1秒に対して1m)にすれば、「非因果的領域」は限りなく空間軸xにはりついたかたちになる)

図4は、時速100kmで走る車αと並行して時速70kmで走る車βを表している。
日常生活レベルでは、βから見たαの速度は時速30㎞に見える。


しかし、光速に近い速度の場合、図5のように、時間軸が傾くと空間軸も光の世界線を中心として同じように傾く。

したがって、図6の場合、私にとって、事象Aは現在だが、αにとっては過去、βにとっては未来となる。

結論:相対性理論では、他者と共通の「今」はなく、人間的時間と物理的時間は別物



続いて「量子力学」から時間を説明している。

図7は、電子と陽電子(反粒子)が衝突してガンマ線(光子)が乗じたことを表している。
  • 原因:電子と陽電子の衝突
  • 結果:ガンマ線の発生
陽電子とは、電子と全く同じ性質をもった粒子で、その電荷だけがふつうの電子のマイナスと反対のプラスである粒子(反粒子)。
反粒子は、未来から過去に向かって進む粒子。
したがって、図7の現象は、図8のように、「電子が未来からのガンマ線と衝突し、過去に向きを変えて進み始めた」とも解釈できる。
  • 原因:電子とガンマ線の衝突
  • 結果:電子の過去への反跳
図7と図8は同じ現象であるが、原因と結果がことなって解釈されている。
結論:量子力学においては、日常の因果関係は成立しない

さらにファイマン図形を使ってミクロな現象を表すと、

図aでは横軸を空間、縦軸を時間にとっている。
ここでの素粒子反応の解釈は、「粒子Aと粒子Bが近づいて、光子を交換した後、それぞれ向きを変えてはなれていった」といえる。

図bは横軸と縦軸が入れ替わっている。
この場合の解釈は「粒子Aと反粒子Aが衝突して対消滅し、光子が発生し、その光子がある時点で、粒子Bと反粒子Bを対創生した」となる。

結論:ミクロな世界では時間と空間の区別に意味がない
   ⇒ミクロな世界を扱う物理学において、時間の概念は必要ない


問題は第6章以降。通常物理学では出てこない「意志」「生命」といった言葉を使い、「時間の創造」、「宇宙の創造」を語っている。

当初、私は、時間の概念は、エントロピーの法則から生まれたものと思って、読み進めていた。しかし、違っていた。
秩序そのものである「生命」による「意志」が時間を創造していると筆者は結論づけている。


この本は、これまで読んだことのない現代物理学と哲学の間のテーマを扱っており、私に強い印象を与えた。

著者が望んでいるように、この本が呼び水となり、現代物理学を踏まえた上での哲学的時間論(時空論)が出てきてほしい。

相対性理論、量子論に興味のある方、お薦めです。
哲学に興味のある方、読んでほしい本です。
両方に興味のある方、目からウロコが落ちます。かなりお薦めです。

最後に著者の紹介をします。
著者: 橋本淳一郎
1947年3月1日 大阪生まれ。京都大学理学部物理学科卒業・同大学院理学研究科修士課程修了。現在、相愛大学人文学部教授。日本SF作家クラブ会員・日本文藝家協会会員・ハードSF研究所所員。SF作家であると同時に、受験生には物理のハッシー君として有名。2004年4月より、「スカイパーフェクトTV」東進ハイスクールにて、『物理・橋元流解法の大原則』の解説講座開講中。(橋本淳一郎ホームページより)


2012年1月23日月曜日

脳は食事でよみがえる

『脳は食事でよみがえる』 生田哲著
今回、紹介したいのは
『脳は食事でよみがえる』・・・疲れた脳、心のストレスはこれで解消! 生田哲著 サイエンス・アイ新書 2009年初版発行
です

この本の特徴は、
  • ストレスに打ち勝つ(第3章)
  • 脳疲労から回復する(第4章)
  • ブルーを吹き飛ばす(第5章)
というように、症状別に章を分けて、詳しく説明している点です。

また、自分の脳の状態を調べる「チェックシート」や、症状を改善する「行動計画」などもついており、読むだけでなく、使える本に仕上がっています。
私は、この本を読んで、さっそく自分が不足しているサプリを購入。今も、飲み続けています。

今回は、ブルーを吹き飛ばす(第5章)について紹介します。

ブルーになる原因
  • 脳が栄養不足(伝達物質不足)
  • 間違った食物の摂取
不足している栄養素
  • ナイアシン・葉酸、B6、B12などのビタミンB群、ビタミンC、亜鉛やマグネシウムといったミネラル、必須脂肪酸、アミノ酸
間違った食物
  • 白砂糖、カフェイン、アルコール
間違った食物の過剰摂取
  • 血糖値の乱高下 ⇒ 興奮性伝達物質の大量放出 ⇒ 一時的な気分の高揚 ⇒ 興奮性伝達物質の放出減少 ⇒ ブルー
ブルーに影響する伝達物質
  • セロトニン: 幸福感をもたらす
  • ノルアドレナリン: やる気と快感をもたらす
セロトニンの生成
  • トリプトファン(必須アミノ酸) ⇒ 5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン) ⇒ セロトニン
ノルアドレナリン
  • ファニルアラニン ⇒ チロシン ⇒ ドーパミン ⇒ ノルアドレナリン
  • 恋愛や音楽などプラスのストレスの際に放出される
トリプトファンの摂取方法
  • トリプトファンを多く含む食物: 肉類、カツオ節、タケノコ、卵黄、バナナ、ピーナッツ、アーモンド、大豆、ノリ、ゴマ、マグロ、チーズ
  • B6やナイアシンが不足すると、トリプトファンはナイアシンに代わるので、これらを合わせて摂取する必要がある
5-HTPの効果と摂取方法
  • トリプトファンよりセロトニンに近いため、より効果的
  • 5-HTPの副作用で一番多いのは、吐き気、これを抑えるには、ショウガ湯やショウガのサプリを一緒に服用するのが有効
  • セロトニンは高く維持されるが、キャット(ドーパミン・ノルアドレナリン)が低下
  • フェニルアラニンやチロシンを服用し、キャットの低下を防ぐ
ビタミン6の役割
  • 伝達物質の生産に必要: トリプトファン ⇒ セロトニン  チシロン ⇒ ドーパミン
ビタミンB12の役割
  • 神経細胞の健康に必要
  • 不足すると脳の酸素不足をおこし、高齢者の記憶障害を引き起こす
葉酸の役割
  • 酸素を脳に運搬する赤血球をつくる
  • 不足すると貧血を引き起こす

この本の良いところは、説明が丁寧な点です。物質の生成過程など、端折らずに書かれているため、説得力があます。私は読後、ビタミンB群を多く含むマルチビタミンを購入、それ以来かかさず服用を続けています。

最後に筆者を紹介します。
生田哲:1955年、北海道函館市生まれ。東京薬科大学卒業。がん、糖尿病、遺伝子研究で有名なシティオブホープ研究所、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの博士研究員を経てイリノイ工科大学助教授(化学科)。薬学博士。アメリカで遺伝子の構造やドラッグデザインをテーマに研究生活を送る。現在は日本で、精神や心のはたらきを物質レベルで解析し、生化学、医学、薬学などライフサイエンスを中心とする執筆活動を行なっている(書籍の掲載より)

2012年1月22日日曜日

のうだま

『のうだま』上大岡トメ・池谷裕二著

最初の投稿で、私はこのブログが三日坊主にならないように、と書きました。
そこで、思い出したのが、今日、紹介する『のうだま』 幻冬舎 2008年初版発行 という本です。
サブタイトルは「やる気の秘密」。筆者は、
  • 『キッパリ! たった5分で自分を変える方法』(幻冬舎)の著者、上大岡トメさん
  • 『進化しすぎた脳』(講談社)の脳研究者、池谷裕二さん

内容を一言で言うと、サブタイトルの通り、どうしたらやる気がでるか、三日坊主にならないか、を分かりやすく漫画をまじえて書かれています。


まず、三日坊主のメカニズムの説明です。
  • 脳は、一度見たものを、毎回驚いていたり感動していても仕方ないため、もともと、マンネリ化するように出来ている
  • マンネリ化は2つの側面がある
  1. 楽しくて始める ⇒ 楽しいことがマンネリ化 ⇒ あきる ⇒ やめる
  2. めんどくさい ⇒ めんどくさいがマンネリ化 ⇒ 慣れる ⇒ 習慣化
2のパターンに持ち込めば、三日坊主にならなくてすむと言うことです。
しかし、めんどくさいがマンネリ化するまでは、やる気が必要です。
残念なことに、やる気をつかさどる脳の部位は、無意識化にあり、やる気を意識的に出すことはできません。
では、どうすればやる気が出るのか。
4つのスイッチがあると言います。
  1. スイッチB(Body):体を動かす
  2. スイッチE(Experience):いつもと違うことをする
  3. スイッチR(Reward):ごほうびを与える
  4. スイッチI(Ideomotor):なりきる

1.スイッチB(Body):体を動かす
やる気なない時こそ、出かけてみる
脳は体の動きに刺激を受けて始めて作業モードに入る
池谷さんは、
  • ○:朝、体を起こすから起きる  ×:起きるから体を起こす
  • ○:テレビを見て笑うから面白い  ×:面白いから笑う
  • ○:泣くから悲しい  ×:悲しいから泣く
と言います。やる気は待っていても出で来ない。体を動かして初めてやる気は出て来るということです。
これは、やる気の話だけではないと思います。私は、以前、認知行動療法で次のことを学びました。
ストレスによるいやな気分の変え方は2通りある
  1. 出来事の認識を変えて、気分を変える
  2. 行動を変えて、気分を変える
2.の「行動を変えて、気分を変える」ことと、「体を動かしやる気を出す」ことは似ていると思いませんか。(注:私の解釈ありで、本当かどうかわかりません)


2.スイッチE(Experience):いつもと違うことをする
脳はいつも新しいことをマンネリ化させので、目線を変えて気分転換をする
  • マンネリ化をが自覚できれば、少し違ったことをするたけで、やる気は戻る。
  • 少し目線を変えることで「いつもと違うこと」を味わえる
  • 友達を巻き込む
  • 続かなくで当たり前を思う
  • 今やっている週間にドッキング

3.スイッチR(Reward):ごほうびを与える
ごほうびによる気持ち良い刺激はとても強く、続けることの原動力になる
  • ごほうびには、ほめられる、達成感、理解してもらう、などといった、目に見えないものもある
  • ごほうびの内容・タイミングは適切な設定が大事(最初の目標は小さくする)
  • ごほうびは現状との差である(例:すきな食べ物を断ち、1週間ジョギングできたら食べられる、これもごほうび)
  • 次回が待ち遠しくなるよう、腹八分目でやめる
  • ほめてくれる人を用意する
  • 身銭を切る(逆ごほうび)

4.スイッチI(Ideomotor):なりきる
なりきると、脳が騙されその気になる
思いこみが強いほど、脳は騙されやすくその気になる
  • あこがれの人になりきる(例:イチローだったら、これくらいの練習は当たり前と思いやる気がでる)
  • カタチから入る
  • ずうずうしい妄想をする(例.英語を習って、ジョニー・デップと話をする)

この本の感想ですが、
  • 意志の力でやる気はでない
  • 体が最初で脳が後
など、常識と思っていたことが違っており、読んでいて目から鱗がおちました。
モチベーションが上がらず困っている人にお薦めです。


2012年1月21日土曜日

<ブログ開設しました>

このブログは、うつけモノ(うつ病の気がある私)の独り言を綴っていきます。
今後、どうなっていくか分かりませんが、時には真面目に、時には面白く、私の考えたことをアップしていきます。

自己紹介します。
48歳、男、妻子がそれぞれ1名づついます。
趣味は水泳。水泳を始めて、最近、体力には自信がもてるようになりました。

欠点は、口下手なところで、人と長く会話をすることが苦手です。自分の思っていることが、うまく表現できないからだと思っています。
このブログを始める動機のひとつは、自分の思っていること、考えたことなどを、ブログ書くことにより、整理するためです。整理できれば、口頭でもうまく表現できるのではないか、という期待もあります。

三日坊主にならないよう更新していきます。