『脳に悪い7つの習慣』 林成之著 幻冬舎新書 2009年発行
を紹介します。
この本は、第1章から第7章まであり、各章に脳に悪い習慣が書かれています。
- 第1章 脳に悪い習慣①―「興味がない」と物事を避けることが多い
- 第2章 脳に悪い習慣②―「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
- 第3章 脳に悪い習慣③―言われたことをコツコツやる
- 第4章 脳に悪い習慣④―常に効率を考えている
- 第5章 脳に悪い習慣⑤―やりたくないのに我慢して勉強をする
- 第6章 脳に悪い習慣⑥―スポーツや絵などの趣味がない
- 第7章 脳に悪い習慣⑦―めったに人をほめない
これを見て「えっ、これっていけないことなの?」(特に③④⑤)と思う方が多いのではないでしょうか。
私もどうしてか知りたくなり、購入してしまいました。(出版社の戦略に見事に引っかかった感じですね。)
以下、本の内容を私なりにまとめます。
第1章 脳に悪い習慣①―「興味がない」と物事を避けることが多い
脳神経細胞がもつ3つの本能: 「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」
3つの本能に逆らうことは、脳にとってよくない
- 「自分さえよければいい」という考えは「仲間になりたい」と言う本能に逆らうためよくない
- 「知りたい」に逆らう「興味がない」のもNG
- 何事にも、前向きに興味をもって取り組むと脳は喜ぶ
脳の2つのクセ: 「自己保存」「統一・一貫性」
- 「自己保存」: 脳は自分を守ろうとする
- 「統一・一貫性」: 脳は統一性、一貫性を保てなくなるような情報を避けようとする
- 「自己保存」「統一・一貫性」の過剰反応には注意が必要
第2章 脳に悪い習慣②―「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
脳は入ってきた情報に、好き、嫌いなどの感情のレッテルを貼る
このレッテルによって、脳のパフォーマンスが左右される
- おもしろくない、好きじゃないといったマイナスの感情は持たない
- 自分を違う人を嫌いと思わず、違うものとして認める
- グチは自分にとっても、聞いた人にとっても、脳にマイナス
- 周囲を盛り上げると、集団全体のパフォーマンスが上げる
表情筋と脳の神経細胞が密接に結びついているため、表情が暗いと脳は曇る
部下を育てる上司とは
- 好かれない上司は、いうことにマイナスのレッテルを貼られるため、チームとしていい結果を残せない
- 反発心をあおって、やる気を出させるのは間違い
- 部下の立場に立って部下の話を聞くことが大事
第3章 脳に悪い習慣③―言われたことをコツコツやる
「自己報酬神経群」: 情報の通路であり、自分への報酬(ごほうび)によって機能する神経細胞群
自己保障神経群のはたらきを阻害する習慣は脳のパフォーマンスを落とす
- 結果的にごほうびを得たではダメ、ごほうびが得られそうだという期待がモチベーションになる
- 脳にとってのごほうびは「うれしいと思うこと」
- 「勝負に勝ってうれしい」より「喜んでもらえてうれしい」の方が、脳にとってはごほうび
「だいたいできた」は、脳にとって停止命令となるからダメ
- 「だいたいできた」と答える子供は伸びない
- 「もう少しでゴールだ」と思うとパフォーマンスが落ちる、「ここからがマイゾーン、負けるはずがない」と思うようにする
- 「無理かもしれない」はダメ、「なぜ難しいのか」と考え、対策に集中する
「コツコツやる」は「失敗しないように慎重にやろう」さらには「失敗するかもしれない」というマイナスの意識が潜んでいるからNG
目的と目標を分ける
- 目標は目的を達成するための課題
- 目標はモチベーションが上がるレベルのものとし、達成のよろこび(報酬)を得られるようにする
- 目的と目標を紙にかいて貼っておき、脳がブレないようにする
- さまざまなことに「目標を手近に、具体的に置く」ことを活用す
- 目標をコロコロ変えることは、失敗経験を積み重ねたことと同じ
- 目標を変える時は、理由をはっきりさせ、同じ轍を踏まないようにする
「自己報酬神経群」は主体的に考えないと機能しない
- 上司や指導者のいいなりはダメ
- マニュアルどおりにやらせることは主体性を育てない
- 「どうすればいいですか」と質問ばかりしているのもダメ
- 人や環境のせいにすることは、主体性がないから
”ここぞ”というときにリラックスしてはいけない、目標に向かって一気に駆け上がる
「気合いだ」「がんばれ」と叫ぶのはNG、具体的な指示を出すべき
第4章 脳に悪い習慣④―常に効率を考えている
効率を重視し、「必要なムダ」を見落とすな
繰り返し考えることが、独創性を生む
- 大事なことは早くまとめて、繰り返し考え直す
- 日記やブログで考えを整理することは脳にもよい
- 本を一回読むだけでは、学んだことを生かせない
「統一・一貫性」「自己保存」のクセにより、先入観や常識にとらわれる
- 頑固では思考がすすまない
- 反論されてカチンとくるのはNG、いろんな意見を取り入れ思考を深める
脳はあまり重要でないと判断したものは3~4日たつと忘れるしくみがあるため、考えることは4日ごとに間を置く
第5章 脳に悪い習慣⑤―やりたくないのに我慢して勉強をする
脳の記憶は4種類
- 「作業記憶」:入ってきた情報すべて
- 「体験記憶」「学習記憶」「運動記憶」:これらはすべてイメージ記憶
- イメージ記憶とは、情報をそのまま記憶するのではなく、思考をへてイメージに変換して記憶する
- イメージ記憶は、思考をへているため間違いもある
しっかり記憶するための条件
- プラスのレッテル(報酬など)をはる
- 主体的に勉強する
- 興味をもって勉強する
悔しい気持ちは自己報酬神経系を強め、脳のパフォーマンスを上げる
剣道を刀で行うと素人が有段者に勝つことがある・・・火事場の馬鹿力
脳は、さまざまな条件を重ねることで、より強く記憶する
- 人を覚えるとき、名前だけ覚えるのではなく、姿や性格なども同時に覚えると、記憶に残る
- 本を読むとき、文字を目でおうのでなく、音読すると記憶に残る
記憶しかたどうかの確認方法
- 人に説明できるか
- 3~4日後に覚えているか
記憶の確認作業を通して完璧な記憶ができる
体験記憶の落とし穴
- 成功体験に捕らわれすぎている
- 失敗体験に捕らわれすぎている
第6章 脳に悪い習慣⑥―スポーツや絵などの趣味がない
「空間認知機能」: 空間のなかで位置や形などを認識する機能
- 物事の認識や判断、思考、記憶のなかでも「空間認知機能」が活躍する
- 空間認知中枢のとなりに、数字を処理する中枢があるため、空間認知機能の弱い人は数字に弱い
姿勢が悪いと身体のバランスが崩れ、空間認知機能がはたらかない
- 目線を水平に保つことは大事
- 姿勢を正しく保つコツ: いつでも真上に飛び上れるような姿勢にする
空間認知機能を高める方法: スポーツと絵をかくこと
- スポーツではキャッチボールがおすすめ
- 絵をかくことが苦手な人は、ますめを使ってかく
テンポよくリズミカルに行うと脳によい
言語中枢の空間認知機能は、よくしゃべると活発にはたらく
第7章 脳に悪い習慣⑦―めったに人をほめない
考えがまとまったとき、脳内では神経細胞が情報をやりとりしながら同時に発火する「同期発火」が起きている
たんたんとクールに話すのではなく、気持ちを込めて話すと気持ちが伝わる
「空気を読まない」はNG
同期発火する脳をつくるには人間性を磨くことが大事
人を褒めると脳はよろこぶ
本を読み終えて、書いてあることすべて、ストンと腑に落ちることばかりでした。いままで、断片的に良い悪いと思っていたことが、脳のメカニズムを通して説明されており、とてもわかりやすい本です。
この本にあげられたことは、どれも簡単なことばかりなので、自分がしている脳に悪い習慣を、ひとつひとつ、改めていきたいと思います。
著者を紹介します
1939年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了後、マイアミ大学医学部脳神経外科、同大学救命救急センターに留学。1994 年、日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター部長に就任後、長きにわたって救急患者の治療に取り組み、その間、数々の画期的な治療法を開発して大きな 成果をあげる。なかでも多くの脳死寸前の患者の生命を救った脳低温療法は、世界にその名を知られる大発見となった。日本大学医学部教授、マイアミ大学脳神 経外科生涯臨床教授を経て2006年、日本大学大学院総合科学研究科教授。2007年10月、国際脳低温療法学会会長賞受賞
・・・http://www.amazon.co.jp/より引用