2012年2月24日金曜日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

今回、紹介する本は、2010年の大ベストセラーです。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』 岩崎夏海著 ダイヤモンド社 2009年発行

『もしドラ』と呼ばれるこの本を読まれた方は多いと思います。今回は、内容の紹介というより、なぜ大ベストセラーになったかを私なりに解説したいと思います。
  1. 表紙のカバーが萌え系の2次元アニメで、一見するとコミック本に見える
  2. この本が、書店で、ビジネス本の中に置かれているととても目立つ
  3. マネジメントと萌え系アニメとの組み合わせでインパクトが高い
  4. ドラッガーの『マネジメント -基本と原則』 と同じ本のサイズにし、セットにして並べたことより、相補的な効果がある
  5. ストーリーが昔の青春ドラマそのもので健全
  6. 登場人物が皆、魅力的かつ個性的で、それぞれ見せ場がある
  7. 悪役の登場人物がおらず、さわやか
  8. ハッピーエンドで終わり、読み終えた時の後味がよい
  9. ドラッガーの「マネジメント」のエッセンスが分かりやすく含まれている
  10. すんなりと読めるので、読み終えた時、ドラッカーのマネジメントが理解できた気になれる
私はダイヤモンド社の戦略にはまり、『もしドラ』と『マネジメント-基本と原則』を両方とも購入しました。
小学5年生の息子も、カバーに惹かれて私の書棚から持出し読んだようです。親子で出版社の営業戦略に引っかかったわけです。

著者の紹介をします。
東京都新宿区生まれ、日野市出身。。茗渓学園高校、東京芸術大学美術学部建築科卒業。
『夕やけニャンニャン』の大ファンで、週刊プレイボーイに連載を持っていた秋元康の企画にハガキを送ったことで秋元と縁を持ち、大学卒業後は秋元康に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』等、テレビ番組の制作に参加した後、2005年から2007年までAKB48アシスタントプロデューサーを務める。2007年12月に秋元康事務所を退職。その後、株式会社インディソフトウェアに入社しゲームやウェブコンテンツの開発を経て2009年4月から株式会社吉田正樹事務所所属。作家として活動を始める。2009年12月、作家として初めての作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を発表しミリオンセラーを記録。
監修をした書籍『甲子園だけが高校野球ではない』もベストセラーになる。・・・ウィキペディアより抜粋

マインドマップ読書術

今回紹介する本は、このブログを始めるきっかけをつくってくれた本です。
「マインドマップ読書術』 松山真之助著 ダイヤモンド社 2005年発行

私の書斎
私はもともと読書が好きて、自宅には、これまで読んできた本がところ狭しと並んでいます。
しかし、その内容を覚えているか?知識として活かされているか?と問われると、いいえ、と答えざるをkませんでした。意識上には上がってこないが、無意識の中で、何らかの考え方や思想に影響をあたえてくれているはずだ、といった言い訳を自分自身にしてきました。
そんな時、この本を読みました。
「1日1冊のペースで読んでも、翌日には中身の9割を忘れてしまう」
この言葉は私の心のど真ん中にグサッと入ってきました。
いままで薄々と感じていたことが、はっきりを書かれており、目が覚めた思いです。
「忘れないためには記録をつけるしかない」
この本では、マインドマップで記録することを奨励していますが、私にとってはハードルが高く、継続できないと感じました。そこで、文章だけでできるブログをアウトプットの手段に選びました。

実際にブログを始めてみると、読書の仕方もかわりました。後でブログを書くことを意識することで、集中力が増し、何が言いたいかをはっきり汲み取るように読むようになったのです。このことは、この本の中にも書かれていますが、ブログを始めて実感することができました。

著者は、もともと一般の会社員でした。仕事のかたわら、書評をメルマガにしているうちに、1万人を超える支持をうけるようになり、書籍を発行するまでになりました。
かつては「企業優先の時代」だったが、今は「個の時代」。インターネットの普及により、個人ブランドを容易に作り出せるようにたった今、大事なことは外に出すことだと言います。
外に出すことにも段階があります。
  1. メモを書く
  2. 日記に書く
  3. ブログに書く
  4. メルマガに書く
  5. 雑誌に投稿する
  6. 本に書く
後の方へいくほど、難しいですが、歓びも大きい。私はブログの段階を始めたばかりですが、楽しく、始めてよかったと思っています。継続することにより、自分を成長させ、ブログの内容をより良くすることで、このブログが広まるようにしていきたいと思います。

著者について
1954年 岐阜県生まれ。名古屋大学工学部大学院修了。
ビジネス書の書評メルマガ『We book of the Day』を発行している。また、ジェイカレッジの校長として「気づきと学びの場」を創出。現在、現在、KIT虎ノ門大学院で客員教授、東京藝大では非常勤講師として、ビジネスアイデア特論や社会事業マネジメント分野にて教鞭をとっている。
メルマガ発行、講演、執筆と多岐にわたり活躍中。・・・講演依頼.comより

2012年2月22日水曜日

世界一やさしい問題解決の授業

今日、2冊目の紹介は
『世界一やさしい問題解決の授業』 渡辺健介著 ダイヤモンド社 2007年発行
です。

この本を購入したきっかけは、先回紹介した『マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック』を読み終えた後、視野を広げるために、同じテーマの別の本を読みたいと思ったからです。
しかし、読み始めて、当初の目的にかなう本ではないことがすぐにわかりました。というのも、著者もマッキンゼー社出身で内容もマッキンゼーで習得したスキルを紹介したものだからです。
ただし、違う点が一つあります。『マッキンゼー式・・・』はビジネスマンをターゲットにした本ですが、この本は中学生くらいの子供を対象にしています。
仕事で問題解決を行っているビジネスマンのスキルを、子供にも分かりやすく伝えようとしています。この本を書いた動機は、著者が社会人になる前にこの方法を知っておきたかった、という思いがあったからです。

内容は
  • 1限目 問題解決能力を高めよう
  • 2限目 問題の原因を見極め、打ち手を考える
  • 3限目 目標を設定し、達成する方法を決める
これらを中学生バンド「キノコLovers」の集客を向上させるにはどうしたらよいか、といった子供に身近な問題を設定して、分りやすくレクチャーしています。

内容はQCの手法に近いものが紹介されていますが、唯一違うのが、「仮説を立てる」ところです。これはマッキンゼーのやり方です。
子供相手ですので、QC手法の「要因系統図」を「分解の木」と言い換えるなどして親しみやすいように書かれています。

問題解決能力は、仕事上だけではなく、人生のあらゆる局面で使うことができるスキルなので、早速息子に読ませたいと思いました。

この本を読んで、ふと思い出した本があります。2010年の大ベストセラー『もしも高校野球のマネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら』・・・通称『もしドラ』です。
この本もビジネスマンのスキル「マネジメント」を学生にもわかりやすく紹介した本でした。出版社はどちらもダイヤモンド社です。もしかしたら、この本がヒントとなり『もしドラ』が生まれた?などと勝手な想像をしてしまいました。

著者紹介
 渡辺健介  1999年イェール大学卒業。同年マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィス入社。2005年ハーバード・ビジネススクール卒業。 同年マッキンゼー・アンド・カンパニーニューヨークオフィスへ移籍。同社を退社後、デルタスタジオを設立。神奈川県出身。・・・http://www.statusdesign.net/persons.p... より抜粋

宇宙は何でできているのか

今回紹介する本は
『宇宙は何でできているのか』 村山斉著 幻冬舎新書 2010年発行
です。

私は、宇宙論や素粒子論に興味があり、大学を卒業して以来、今までにこの手の本をいくつも読んできました。この分野は分かっていないが多く、通説と思われてきたことがひっくり返ることがしばしばあります。したがって、数年前に仕入れた知識は実は間違っていた、となりかねないので、ときどき最新の情報をチェックする必要があります。

この本の内容はタイトルどおり「宇宙は何でできているのか」なのですが、結論からいうと、「ほとんど分かっていない」ということです。これまでは、宇宙は星やガスなどの通常の原子でできていると思われてきました。おそらく、宇宙に興味のない方は、いまでもそう思っているのではないでしょうか。
しかし、質量がないと思われていたニュートリノに質量があることが分かり、しかもそれは、宇宙にある全ての星とほぼ同じ質量を持っていることがわかりました。これが1998年のことで大事件でした。
では、ニュートリノと全ての天体とチリやガスなどの原子がすべてかといえば、そうではありません。
今わかっているのは
  • 星と銀河 0.5%
  • ニュートリノ 1~1.5%
  • 普通の物質(原子) 4.4%
合計 約6%
分かっているのは、たったの6%です。残りの約94%は現代の科学では分かっていないのです。
少し前までは、全てわかっていたつもりだったのですが、最近になって、ほとんどわかっていないとこが分かりました。これが2003年のことです。

それでは、どうしてこんな事態になったかといえば、宇宙が今どんな状態かを見誤っていたためです。これまで、宇宙は現在膨張しているが、いずれは重力により膨張の速度が弱まると考えられてきました。しかし、最近になって、宇宙の膨張が加速しているという観測データが出てきました。
これが正しければ、今分かっている宇宙の全質量では、つじつまがあいません。
この観測結果は正そうなので、データより計算すると、他に約94%の質量がどこかにないとおかしいということになったのです。

では残りの94%は何かというと、23%が暗黒物質(ダークマター)、73%が暗黒エネルギー(ダークエネルギー)というものでできていると考えれられています。しかし、これらが何かはまだわかっていません。
今分かっていることは、天の川銀河の質量だけでは、我が太陽系は天の川銀河にとどまっていることができない。とどまっているためには、もっと質量が必要で、その質量分の物質をとりあえず暗黒物質と名付けた、これだけです。
では、暗黒エネルギーとは何かと言えば、暗黒物質以上によく分かっていません。宇宙の膨張は重力の影響で減速すると考えられてきましたが、実際は加速しています。加速するためには、膨張を手助けする何らかのエネルギーが必要であり、そのエネルギーの名をとりあえず暗黒エネルギーと名をつけた、分かっているのはこれだけです。

これから、暗黒物質や暗黒エネルギーについては、いろいろなことが新発見されると思います。
ニュース等で暗黒物質、暗黒エネルギーといったキーワードが出てきたときは、要チェックです。

最後に著者の紹介をします。
東京大学理学部に入学し、素粒子物理学を専攻。東北大学助手の後に渡米。2008年現在、カリフォルニア大学バークレイ校 MacAdams 冠教授。東京大学数物連携宇宙研究機構機構長。
主な研究分野は超対称性理論、ニュートリノなどである。
著書
『宇宙に終わりはあるのか?―素粒子が解き明かす宇宙の歴史』 (ナノオプトニクスエナジー出版局、2010年10月)
『宇宙は何でできているのか』 (幻冬舎、2010年9月28日)・・・ウィキペディアより

著者は「小学2年生の頃、微積分を理解した」という、天才肌の研究者です。
著者の提案した研究に国は約100億円の予算をつけました。40代の研究者にこれだけの金額を国が委ねることは極めて異例なことで、著者への期待の高さがうかがえます。

2012年2月17日金曜日

マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック

今回は
『マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック』 イーサン・M・ラジエル、ポール・N・フリガ著 嶋本恵美、上浦倫人訳 英治出版 2002年発行
を紹介します。

マッキンゼーとは世界で最も成功しているコンサルティング会社です。日本の著名人では、大前研一さんや勝間和代さんがマッキンゼー社出身です。


1.問題の構造を把握する
1.構造を把握する
マッキンゼーのテクニック
  • MECE を貫徹させる ⇒ MECEとは「互いに重ならず、すべてを網羅する」(Mutually Exclusive, collectively Exhausive)
  • 初めての問題など存在しない
  • クライアントは、それぞれが唯一無二
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 構造がないと、アイデアに説得力がない
  • 構造を利用して、思考を強化する
活用・実践ガイド
  • 現実を構造化する
  • 問題を構成要素に分解する
  • 論理ツリーを活用する
  • 論理ツリーは MECE であること
  • 複雑な問題を単純な形で表現する
  • 新しいフレームワークを考える
2.当初仮説を立てる
マッキンゼーのテクニック
  • 最初の会議で問題を解決してしまう
  • 用意周到な準備が必要
  • 白紙の状態から始める
  1. 悪いアイデアというものはない
  2. ばかげた質問というものはない
  3. 自分のアイデアが退けられるのをいやがらず、必要があれば自分から取り下げる
  4. 会議が長くなりすぎて収穫が減ってきたら、無理に続けないで中止する
  5. 紙に書く (以上ブレーンストーミングのルール)
  • その問題は本当に解決すべき問題なのか
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 当初仮説は時間の節約になる
  • 当初仮説によって意志決定がより効果的になる
実践・活用ガイド
  • 仮説はクイック・テストにかける
  • 問題点ツリーを作成する
2.分析を計画する
マッキンゼーのテクニック
  • キー・ドライバーを探す
  • 大きな絵を眺める
  • 海の水を全部沸かすな
  • 解決策が姿を現すまで待つこともある
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 立てた仮説から必要な分析を割り出す
  • 分析の優先順位をきちんと決める
  • 絶対的正確さを目指さない
  • 難しい問題は三角法で測定する
実践・活用ガイド
  • 問題点をリストアップする
  1. 答えに関する当初仮説
  2. 仮説を証明あるいは反証するのに必要な分析(重要な順に並べる)
  3. 分析するのに必要なデータ
  4. 考えられるデータ源(たとえば、国勢調査データ、フォーカスグループ、面接調査)
  5. 各分析の予想される最終結果の概要
  6. 各最終結果についての責任者(あなた自身かチームのメンバー)
  7. 最終結果の期日
  • 無用な分析を省く
3.データを収集する
1.リサーチの戦略とツール
マッキンゼーのテクニック
  • 問題解決は事実から出発する
  • 「見当もつかない」は暗号 ⇒ 「検討もつかない」という答えがかえってきたらチャンスとして受け止める
  • 具体的なリサーチの実践テクニック
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 自分の組織のデータに関する方針を診断する ⇒ 直観よりデータ、データの欠如が効率的な意志決定を妨げている
  • 確かな事実が持つ威力を証明する
  • 適切なインフラを構築する
実践・活用ガイド
  • 戦略的なデータ収集とは
  • 事実を重視する文化を築く
  • 適切な情報源を探す
2.面接調査のテクニック
マッキンゼーのテクニック
  • 事前の準備−面接調査ガイドの作成
  • 面接の本質−聴きかつ導く
  • 面接調査を成功させる七つの戦略
  1. 面接相手の上司にお膳立てをしてもらう
  2. 二人組で面接をする
  3. 誘導しないで耳を傾ける
  4. 相手がいったことを言い換えて確認する
  5. 間接的アプローチを用いる
  6. 面接相手に多くを求めすぎない
  7. コロンボ戦術を用いる
  • 面接の相手を裸にしない
  • 面接トラブル対処法
  • 必ず礼状を書く
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 面接を構造化する
  • 面接では聞くことに専念する
  • 面接ではこまやかな配慮をする
活用・実践ガイド
  • 面接前後のフォローに気を配る
3.ナレッジ・マネジメントを究める
マッキンゼーのテクニック
  • 初めての問題など存在しない
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • すぐに応える文化を創り出す
  • 外部の知識を活用する
  • 入力の質を管理する
活用・実践ガイド
  • 知識を共有する
  • 組織全体が参加する
4.分析結果を解釈する
1.データを理解する
マッキンゼーのテクニック
  • 80対20の法則
  • 毎日一つチャートを作る
  • 解決策に事実を当てはめるな
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 「だからどうなのだ?」と考える
  • 的外れでないことを確かめる
  • 分析には限界があることを忘れない
活用・実践ガイド
  • 事実が仮説と矛盾するときは、仮説を変える
  • 80対20の法則を活用する
2.最終結果を生み出す
マッキンゼーのテクニック
  • クライアントに合った解決策を提案する
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • クライアントの眼を通して見る
  • クライアントの能力の限界を考慮する
活用・実践ガイド
  • すべてを話してはいけない
  • クライアントが変化を起こすのを手伝う
5.最終結果をプレゼンテーションする
1.プレゼンテーションの構造
マッキンゼーのテクニック
  • 誰にでもわかる道順を示す
  • エレベーター・テスト
  • 簡潔に−一つのチャートに一つのメッセージ
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 思考をしっかりした構造で支える
活用・実践ガイド
  • プレゼンテーションも MECE で
  • 結論から始める
  • 事前にエレベーター・テストを実施する
  • 添付資料はシンプルであること
2.同意を得る
マッキンゼーのテクニック
  • 関係者全員に事前通告する
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 驚かれるようなことを避ける
  • プレゼンテーションを聞き手に合わせる
活用・実践ガイド
  • 柔軟に対処する
6.チームをマネジメントする
1.チームを編成する
マッキンゼーのテクニック
  • 最適なスキルと人材を慎重に選ぶ
  • マッキンゼー式採用プロセス
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 示された能力だけでなく、相手の潜在的能力にも配慮する
  • 多様性の価値を理解する
  • 計画性を持って人材を採用する
活用・実践ガイド
  • 誰を雇うべきか
  • どうやって探すか
  • 多様性を忘れずに
2.コミュニケーションを促進する
マッキンゼーのテクニック
  • 情報をスムーズに流す
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 耳は二つあるが、口は一つしかないことを忘れてはいけない ⇒ 話すことよりも聞くことの方が有益。世の中に聞いた時間の半分しか話してはいけないというルールがあれば、平和な世界になる
  • 何を言うかだけでなく、どう言うかが重要だ
  • コミュニケーションは、不足より過剰のほうがいい
活用・実践ガイド
  • 聞くトレーニングを利用する
3.きずなを育てる
マッキンゼーのテクニック
  • チームの士気に気を配る
  • きずなは、ほんの少しで十分だ
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • いっしょに過ごす(ただし、やりすぎは禁物)
  • 十分に報いる
活用・実践ガイド
  • きずなを深めるメリットを示す
4.成長を促す
マッキンゼーのテクニック
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 期待は高く
  • つねに働きぶりを評価する
活用・実践ガイド
  • 野心的な全体目標を作る
  • 目標を伝える
  • きちんと評価する
  1. 客観的に評価する
  2. あらかじめ設定した目標にもとづいて評価する
  3. 当人の努力のおよぶ範囲のことだけに焦点を絞って評価する
  • バランスに気を配る
7.クライアントをマネジメントする
1.クライアントを獲得する
マッキンゼーのテクニック
  • 売込みをしないで売り込む
  • あくまで到達可能な目標を設定する
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • クライアントをはっきりさせる
  • ニーズを押しつけるのではなく、引きつける
活用・実践ガイド
  • クライアントが誰で、ニーズは何なのかを考える
2.クライアントとの関係を調整する
マッキンゼーのテクニック
  1. クライアントを巻き込む
  2. いつも客観的な視点を忘れない
  3. クライアント・チームを味方につける
  4. 足を引っ張るクライアントのチームメンバーをうまく扱う
  5. 低い枝の実を採る
  6. 相手の組織全体の支持を獲得する
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • クライアントを巻き込む機会を作る
活用・実践ガイド
  • クライアントと協力して成果を生み出す
3.クライアントを保持する
マッキンゼーのテクニック
  • 提案は厳しく実行させる
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 責任を分け合い、そのあとに委譲する
  • クライアントをヒーローにする
活用・実践ガイド
  • 協力してもらう範囲をあらかじめ明確にしておく
8.あなた自身をマネジメントする
1.職場での生活
マッキンゼーのテクニック
  • 自分だけのメンター(師匠)を見つける
  • シングルを打つ
  • 自分の上司を引き立てる
  • 自己主張するときはリスク覚悟で
  • よきアシスタントを確保する
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 自分ができないことは他の人間に任せる
  • 自分の人脈を最大限に活用する
2.個人的生活
マッキンゼーのテクニック
  • 旅から旅の生活を楽しむ
  • 自分の生活を手に入れたければ、何かルールを作る
マッキンゼーでの教訓と成功例
  • 自分の時間を大切にする
  • 自分の精神状態をチェックする
  • 重荷は分かち合う
10年以上前の本だが、内容は少しも色あせていない。すべてのビジネスマンにお薦めできます。
トヨタの自主研と相通じるところがあり、実践で使えるテクニックが満載です。

この本の前に、著者は
『マッキンゼー式世界最強の仕事術』 イーサン・M・ラジエル、ポール・N・フリガ著 嶋本恵美、上浦倫人訳 英治出版 2001年発行
を出しています。
こちらは、具体性に欠けている(著者も認めています)ため、実際の仕事に役立てるには、本書をお薦めします。

生物と無生物のあいだ

今回紹介する本は
『生物と無生物のあいだ』 福岡伸一著 講談社現代新書 2007年発行
です。2007年に第29回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)、2008年に第1回新書大賞をそれぞれ受賞しています。

この本は、生物とは何か?という問いに著者自身の答えを出しています。その答え自身は、著者が始めて提唱したものではないようですが、一般の人は初めて知る話だと思います。
著者の答えは
生物とは「自己複製」と「動的平衡」をするもの
  • 「自己複製」とは、自分の分身をつくること
  • 「動的並行」とは、食事と排泄を繰り返し、体内の分子を常に新しいものに置き換えることであり、食事は、車のガソリンのように、単なるエネルギーではない
この定義からすると、「自己複製」はできても「動的平衡」でないウィルスは生物ではないことになると著者は説明します。

本の内容は、バラエティに富んでいます。

野口英世、ジェーム・スワトソン、フランシス・クリック、モーリス・ウィルキンズといった著名な科学者に対し、著者は大変辛口の評価をしています。また、オズワルド・エイブリ―、キャリー・マリス、ロザリンド・フランクリンに対してはもっと評価をされてしかるべき、と主張しています。このような話は、科学史や科学者の仕事に関心がある方にとっては、興味深いと思いますが、純粋に科学の話が知りたい読者にとっては、読み飛ばしたいと思われるかも知れません。

また、著者が自身の職場を回想するシーンは、科学の本とは思えないほど、抒情たっぷりに描かれています。これは、生物学者である著者の特筆すべき能力です。このことは、目次を見ただけでも伺い知ることができるので紹介しておきます。
  • 第1章 ヨークアベニュー、66丁目、ニューヨーク
  • 第2章 アンサング・ヒーロー
  • 第3章 フォー・レター・ワード
  • 第4章 シャルガフのパズル
  • 第5章 サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ
  • 第6章 ダークサイド・オブ・DNA
  • 第7章 チャンスは、準備された心に降り立つ
  • 第8章 原子が秩序を生み出すとき
  • 第9章 動的平衡とは何か
  • 第10章 タンパク質のかすかな口づけ
  • 第11章 内部の内部が外部である
  • 第12章 細胞膜のダイナミズム
  • 第13章 膜にかたちを与えるもの
  • 第14章 数・タイミング・ノックアウト
  • 第15章 時間という名の解けない折り紙
まるで小説の目次です。とても生物学の本の目次とは思えません。

私が気に入ったエピソードをひとつ紹介します。
「第8章 原子が秩序を生み出すとき」の中で、アインシュタインと並んで20世紀最高の物理学者であるシュレーデンガーの著書『生命とは何か』について説明しているくだりです。
シュレーディンガーは物理学者らいし考察で、原子の大きさに対して、生物の大きさがどのように決まっているのかを説明しています。
原子が少ない状態では原子ひとつひとつがそれぞれバラバラに動いており、秩序ある振る舞いをしない。しかし、原子が十分に多い場合は、平均的な振舞いをするため、高度な秩序を必要とする生物になりうる。という話です。

最後に著者の紹介をします。
生物学者・青山学院大学教授。1959年東京生まれ。京都大学農学部卒。研究のかたわら、「生命とは何か」を分かりやすく解説した著作を数多く著す。ベストセラー『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』ほか、著書多数。・・・福岡伸一オフィシャルブログ「福岡ハカセのささやかな言葉」より

2012年2月10日金曜日

進化しすぎた脳


今回紹介する本も「脳」に関するものです。
『進化しすぎた脳』 池谷裕二著 講談社BLUE BACKS 2007年発行

この本は薬学博士である著者が、大脳生理学の最先端を中高生を相手に分かりやすく講義をしたものです。

著者は、以前紹介した『のうだま』の共同著者でもあり、私のブログでは2度目の登場となります。

最先端といっても、語られていることは、誰もが興味を持つ、意識や、記憶といった身近な脳の働きをテーマとしています。
読んでみると、脳は日常活動の意外なところで働いていたり、今まで思い描いていた脳のイメージとかけ離れたことをしていたり・・・最初は想像しがたい事実も、著者の丁寧な説明のおかげでつじつまが合い納得できます。
逆に、常識と思っていたことが、研究を進めていくうちにつじつまがあわなくなり、違っていた、といったことも、わかりやすく伝えてくれます。
また、脳の話しとなると、どうしても「意識」とは、というテーマが出てきます。この哲学的なテーマに対し、著者なりの結論を出しており、読み応えがあります。
この本は、どこかで聞いたことのある話ばかり、といったものではありません。お薦めです。

以下、私が印象に残った話を紹介します。

脳の部位と体生感覚野の地図
手や足など、人間のさまざまな部位の機能が、大脳のどこに
対応しているかを表す「能地図」 1952年作
カナダの脳外科医ペンフィールド(1891-1976)によるもの
脳について
  • 脳が大きければ大きいほど、しわが多ければ多いほど賢いという通説は間違い。イルカは人間の脳よりはるかに大きくしわも多いが、知能は人間の3歳児並み。
  • 脳と他の臓器との違いは、他の臓器はどの部位をとっても同じ役割をしているのに対し、脳は部位ごとに役割が分かれている。聴覚野では、ヘルツ数によって反応する部位が分かれている。
  • 脳は部位ごとに役割が分かれているため、脳の一部を損傷しても、損傷した部位の機能が働くなるだけで、他のことは正常に働く。
  • 脳は部位ごとに役割が分かれているが、固定されているわけではなく、フレキシブルに対応する。発達段階に、目から入った神経を視覚野と切り離し、聴覚野につなげる動物実験では、ちゃんと目が見えるようになった。
  • 脳の発達は、カラダによって決まる。指が4本で生まれた子は、脳には4本に対応する神経しかできない。指の分離手術をして、5本の指ができたら、約1週間で、5本目の指に対応する場所が脳にできた。
  • コンピュータと脳の違い。コンピュータはハードウェア(キーボードやマウス)を取っても、コンピュータ本体は変わらないが、脳は、腕や足を取ると、それに対応する部位が衰えてしまう。
  • 脳のポテンシャルは高いが、カラダが単純な構造なため、脳の性能を持て余している。
  • 人間は運動神経と引き換えに、知能を発達させた。最も運動神経のよい動物は鳥。
  • 脳はどのようにして考えているのか?この問いに、偉大な天文学者ケプラーは、「脳の中に小人が入っており、その人が考えている」(ケプラーの小人理論)という説を大まじめに唱えた。
視覚について
  • 脳が補正をかけているため、片目でも立体感を感じることはできる。脳が立体感を感じるように補正をかけているため、錯覚が起きる。世界は3次元なのに網膜は2次元、補正をかけざるを得ず、錯覚が生じてしまう。
  • 網膜から出て脳に向かう視神経の数は、片目で約100万本。デジカメでいうと100万画素。脳は解像度では今のデジカメに負けるが、補正をすることにより補っている。
  • アニメやパラパラ漫画が滑らかに動いて見えるのは、脳が次の瞬間、どうなるかを予想して補っているため
  • 人間の目の時間解像度に合わせて、ビデオのコマ数が決められている。ビデオ1/30秒、映画1/24秒
  • 目から入った情報は形、色、動きをそれぞれ脳の別の部位で並行して行っている。しかし、解析にかかる時間は異なり、最初に色、次に形、最後に動きに気づく。
  • まず、世界があって、それを見るために、人間が目を進化させた、のではない。人間の目ができた初めて世界ができた。人間の見ている世界は人間独自のもの。他の動物は、違う世界を見ている。
  • 目の情報を処理するのは、視覚野だけではない。視覚野がダメになっても上丘という場所で目からの情報を受け取っている。上丘は原始的な脳で、単純な判断しかできないが、反応が速い。野球やテニスは、球を視覚野で処理していては、間に合わないため、上丘で処理しカラダを反応させていると考えられる。
  • 人間には盲点というものがあり、視界には見えていない場所がある。盲点は簡単に探すことができる。
盲点の実験:右目を閉じて左目で黒いエリアの中の白い丸を見る。顔を前後に動かし、左の黒い丸が消えるところが盲点

  • 網膜の中心に視神経用の穴が空いており、そこが盲点になっている。脳が周囲の情報から盲点の情報を予測し補正しているため、普段は盲点に気づかない。
  • 色を見分ける細胞は網膜の中心しかないため、ごく狭い範囲しか色をみていない。それ以外の部分は、脳が予想して埋めている。
  • クレヨンを視界ぎりぎりのところに置くと、クレヨンは判別できても、色はわからない。一度、色をみてしまうと、脳が学習してしまうため、補正してその色が見えるようになる。
意識について
人種や民族に関係なく人間の表情は上記の6種類
  • 人間の行動の中で、意識でやっていることは意外と少く、ほとんどが無意識の活動。
  • 意識の条件その1:表現の選択
  • 意識の条件その2:短期記憶(ワーキングメモリ)
  • 意識の条件その3:可塑性(過去の記憶)
  • 上記の3つを満たしている「言葉」は意識の典型
  • 表情のパターンは世界共通。赤ちゃんが、誰からも教わらずに顔の表情を全種類できるのは遺伝子の持っている情報のおかげ。
  • 言葉にないものは想像しづらい。言語学者のアブラム・ノーム・チョムスキーいわく「言語を知れば、その国や社会の構造体系を知ることができる」 。人間は言葉の奴隷。
  • 最も原始的な人間の感情は恐怖。危険なものから避けなければならないため。恐怖は「扁桃体」という場所で生まれる。
  • 動物は怖いから逃げるのではなく、扁桃体が活動したから逃げる。それと並行して大脳皮質に扁桃体の活動が伝わり、怖いという感情が生まれる。
  • 感情によって行動が決まるのではない。感情の価値は、人間の世界観に色彩をくわえたり、他人の感覚を想像して共感したりする。
スパイクの出力
活動電位(スパイク)は出口の繊維の根元の部分(図のX)
からスタートする。賛成派(グルタミン酸を使うシナプス)と
反対派(GABAを使うシナプス)があり、最終的にスパイク
を起こすかどうか(=発火)はこの根元で決める。
記憶について
  • なぜ記憶するのは難しいか?何度も繰り返し見ることにより、パターンをつかむため(汎化)例えば、デジカメのように見たものを完全に記憶すると、少しでも違っていると、同じものを同じと認識できない。したがって、何度も見ることによって、少しくらい違っていても同じものだと認識できるようになる。なかなか、覚えられないのは、頭が悪いためではなく、脳がそのように進化しているため。
  • あいまいな記憶どうしが、ある時結びついて、イマジネーションが生まれる。完全な記憶しかもたないコンピュータは創造はできない。
  • 人間の細胞は約60兆あり、2~3か月でほぼ入れ替わる。しかし、脳細胞は入れ替わらない。脳が入れ替わったら、自分の連続性がなくなってしまうため。
  • 神経細胞一つにつきシナプスは1万個ある。神経細胞は1000億あるため、脳の中のシナプスは1万×1000億
  • 神経細胞ないは電気信号(スパイク)、細胞間(シナプス)では化学反応(神経伝達物質)により情報伝達が行われる。が、スパイクがくれば必ずシナプスに化学反応が起きるわけではなくある確率で起きる。これが、脳のあいまいさの原因。
  • シナプスにはアクセル役とブレーキ役があり、アクセル役はグルタミン酸を放出、ブレーキ役はGABAを放出する。
  • アクセルとブレーキのバランスがとれて、脳が正常に機能する。
  • このバランスが崩れた病気が「てんかん」。重量挙げ選手は訓練によって、このバランスを崩すことができる。また、火事場のバカ力も一時的にバランスが崩れて起きる現象。
  • 記憶は全て神経ネットワークに蓄えられる。
  • ネットワークに信号を蓄える必要な法則「ヘブの法則」・・・神経AとBがあるとする。AとBの神経が同時に活動したら、その二つの神経の結びつきは強くなる。というもの。
脳科学について
  • 自然淘汰は優秀な子孫を残すことをが目的。アルツハイマーは子孫を生んだ後の老人の病気のため、自然淘汰されない。
  • 脳とコンピュータの違い。コンピュータはハードウェアにより動作するが、脳はハードウェアがなくでも自発的に活動する・・・「脳の非エルゴード性」
  • 脳の重さは体重の2%に対し、消費するエネルギーは20%、そのほとんどが、自発活動(ひらたく言えば「ゆらぎ」)
  • 成人男性の1日の消費カロリーは2000kcalとすると脳の消費カロリーは400kcal≒20W ⇒ 電気代に換算すると約300円/月
  • ジャンケン、どわすれ、ふと思い出す・・・「脳のゆらぎ」に起因
  • 脳が見る風景は、本当に見ている風景なのか? 網膜から視床に入る割合:20% 視床から視覚野に入る割合:15% ⇒ 網膜から視覚野に入る割合:20%×15%=3%に過ぎない
  • 外の世界かは入る情報の処理「ボトムアップ処理」に対して、脳内部の処理「トップダウン処理」、脳内の処理のほとんどがトップダウン処理
  • S/N比とは、シグナル/ノイズの比率。音を聞き分ける実験装置は10以上のS/N比が必要だか、人間は1以下でも聞き分けられる。これはトップダウン処理のおかげ
  • 科学は「客観性」と「再現性」を重視する学問
  • 「再現性」を重視する以上、科学が対象にできる現象は限られている。
  • 「科学的なら信じる」という人が多いが、では「信じる」とは何か・・・と考えると、科学は宗教に近く、その基盤は危うい。
  • 相関関係と因果関係は違う。データが相関関係を示していても因果関係があるとは言えない。
  • 科学は「再現性」が必要だが、脳は常に変わっていく・・・再現性がない

もともと、この本は、前回紹介したように、中高生相手に講義したものをまとめたものです。受講者が、興味をひけるように、たとえ話をまじえての説明で、自分が講義を受けているような感覚で読み進めることができました。
なんとなく脳に興味のある方にお勧めです。おもしろ話が散りばめられ、話のネタのレパートリーが増えること請け合いです。